名将の条件:勇将の下に弱卒なし、その逆は?

名将の条件を考えるときには、そのリーダーの特質も考えないといけませんね。

どんな人も名将になれる可能性はあると思いますが、その長所、欠点をよく考えないと難しいように思います。

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ドルトムント球団監督

サッカーファン以外には興味のない話題かもしれませんが……。

そんな方のために、背景を簡単にご紹介しておきますね。

ドイツ・ドルトムント球団には香川真司選手が属して活躍しています。監督はトーマス・トゥヘルという人で、今年度就任した1年目の監督です。

ドルトムントは、ドイツのブンデスリーグではほぼ2位を確定させた強いチームです。しかし、1位のバイエルンと最近戦ったときは、引き分け狙いのような消極的な試合運びでファンを失望させました。

さらに、最近のシャルケ戦でも、一軍を出さずに、引き分けで終わってしまいました。シャルケ、ドルトムント、どちらのクラブもルール工業地帯に本拠地を置き、この戦いはルールダービーと呼ばれ、ファンは対抗心丸出して熱狂するのです。そのような試合に一軍を出さなかったので、ファンは腹立たしかったでしょう。

しかし、監督を擁護する人たちは、これは次の大事な試合のために、一軍を休ませたというのです。

この大事な試合とは、UEFAヨーロッパリーグ(El)という戦いで、ベスト8入りがかかっていました。ドルトムントは、今年はタイトルをとれるのがこのリーグくらいしかないので、何が何でも勝ち抜きたかったわけです。

対戦相手は英国のリバプールで、監督はクロップ。この人はドルトムントの前任監督です。これも因縁めいています。

この試合は、なにがなんでも勝つとドルトムント・ファンは期待しました。実は、このリーグはホームとアウェイの2試合で勝負を決します。1週間ほど前に戦ったときは、1対1の引き分け。ホームですから絶対勝つべきだったのですが、トゥヘルは引き分けで喜んでおりました。アウェイで勝つのはたいへんなので、ファンはこれもがっかり。

で、当日の試合です。

試合は、後半60分くらいまで、3−1でドルムトンがリードしていましたが、最後には3−4で逆転負けしてしまいました。

この戦いぶりで、トゥヘルに対する批判が噴出しました。

”調子の上がってきた選手を次の試合でベンチ外にしたり、1stレグでホームなのにまるで攻める気がなかったり、ダービーを捨て石にしたり… ”

”ダービーで主力温存してドロー、しかもリーグ優勝を捨ててELに臨んだはずが…この結果は非常に気分が悪いです!怒 ”

”はっきり言ってトゥヘルの後半の戦術変更と選手交代の決断の遅さ、判断ミスにはガッカリしました ”

”ホームでの試合がどれだけ重要だったかという事”

”トゥヘルはリアリストであるがゆえに思い切った決断が出来ず、モチベーターとして見ると失格であるということです ”

”自分の戦術の駒に選手を使い、選手の特徴はわからない。戦況が思いがけない状況になると、手が打てなくなる。”

”ハーフタイムに、「子孫に代々、語り継げるような瞬間をつくり出そう。ファンのために特別な夜をつくり出そう」と選手が鼓舞せざるを得ないような言葉をかけたクロップと、明らかにパニックに陥っていたトゥヘルとの経験の差、モチベーターとしての能力が明暗を分けたと言えるが、メンタルだけでなく戦術的にもドルトムントが逆転される必然的な理由があったと見ている。”

トゥヘルとはどんな人

トゥヘルとはどんな監督なのでしょう。ここはサッカー解説のサイトではありませんので、人物鑑定と絡めてまいりましょう。

まずはこちらがその人。
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体型的に見るからに2種です。2種とはどんな人?

このブログを読んでいる方はだいたいおわかりでしょう。おわかりでない方は、『行動分析の手引』をダウンロードしてお読みください。

2種の行動特性はどんなか?

2種は、分析力優秀は優等生タイプ。人情とかはあまりよくわからない。

優秀でも、独創はない。いつもテキストが必要。その解釈が得意。お手本をうまく利用するのがうまいというべきでしょうか。創造より改良の才があります。

決められたルールに忠実に従います。ルール違反にはとても敏感。

最後に、力に弱いという泣き所が。

ざっとこんな特徴が2種です。役人に多いタイプです。これを踏まえて、彼のサッカーを見てみます。

まず、トゥヘルのサッカー・スタイルですが、決めごとをきちんと守ることが求められます。香川のように、あっちこっちふらふら動いて思いがけないプレーをするのは大嫌いでしょう。

トゥヘルのサッカースタイルは、ペップという有名監督のコピーだとされています。ペップを尊敬してそれをテキストにしているのでしょう。ペップとは、ジョゼップ・グアルディオラのことで、首位を独走するバイエルンの監督であり、輝かしい経歴を誇っています。

トゥヘル監督は見ていると臆病だなと思うことがたびたびあります。

バイエルンとの一戦では、引き分けで喜んでいた。負けるのがいやだったのでしょうか。しかし、リーグ2位以上はほぼ確定しているのですから、あえて博打をして、勝負に行くのが勝負師だと思います。失うものはないのですから。尊敬するペップの前で萎縮したと言われても仕方ない。

リバプールとのホームゲームも、守りの展開で攻撃に行かず、引き分け。ホームで勝つのはサッカーで鉄則なのですが、クロップ監督に萎縮してしまったかのように見えてしまいます。

バイエルン戦といいリバプール戦といい、強い力に弱いという特徴があるように見受けられます。

これが、相手に対する事前の戦略は優れているが、モチベーターではないと言われるゆえんでもあります。

相手チームの戦力を考えて、戦術を考え、選手を型に押し込む。しかし、試合は思いがけないことが起きます。そして、そのときの対応はひどく下手です。直感とかいうものはまずない、ということです。

トゥヘルを見ていると、司馬遼太郎の『坂の上の雲』に出てくるロシアの将軍たちのことがどうしても頭に浮かびます。

たとえば、ロシア満州軍総司令官のクロパトキン。事務能力に優れた政治的手腕の高い軍人として評価されていたそうです。その将軍が戦場では、とても臆病に見えるのです。

日本軍は弾薬も人材も消失していて、本格的な戦いになればとても戦線を維持できなかったでしょうが、ロシア軍は逃げるばっかり。たしかに、ロシア領の奥に引きずり込めば勝てるでしょうが、そんなことをするまでもないのが実態でした。日本軍が危うかったのは何度もあったようです。要するに大事なところでびびったのです。

ここぞというときに戦うリーダー。そして、リスクをとる勇気。これがないと、名将にはなれないということでしょうか。


◆初めての方に

人間の価値観には10種類あります。そのどれを重視している人かを見極めると、リーダーシップが格段につきます。

コミュニケーションスキルと感受性の知識を併せ持つことが、これからのリーダーにとって、たしなみになるということです。

例題:いつも言っていることなので、よくご存じの方にはおわびします。

船が座礁してしまい、乗客は救命ボートに乗り移ろうとしました。ところが、人数が多すぎて、何人かは岸まで泳いでいかなければなりません。どうやって説得するか。

イギリス人には
「ジェントルマンらしく行動してくれ」

ドイツ人には
「船長の命令である」

イタリア人には
「君は飛び込むな」

アメリカ人には
「保険に入っているから大丈夫」

日本人には
「みなさん、泳いでいますよ」

傑作なジョークですよね。いつも笑ってしまいます。

しかし、これはなかなか含蓄のあるジョークでもあります。つまり、人間は何によって動かされるかということなんです。

結局、人間はすべて合理的に行動しているのです。ただ、その合理性が他の人と一致しないだけなのだと思います。

その合理性とは、結局のところ価値観といえます。何を大事にしているか、ということです。

イギリス人は社会的名声をとても大事にしている。

アメリカ人は経済的利益をとても重視しています。

日本人は、組織の中での調和を重視しています。

これは人間の価値観の類型です。ですから、日本人のなかにも、イギリス人的価値観やアメリカ人的価値観をもっている人が当然おります。

ですから、説得のためにコミュニケーションを行おうとするとき、相手の価値観をしっかり認識しないと、まるで外国語で話しかけるようなことになりますね。

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■リーダーの人間を見る目を鍛える方法論について
『リーダーの人間行動学――人間を見る力を鍛える』(鳥影社)
体癖論の感受性理論をベースに、歴史上の人間(探険家スコット、乃木希典、大村益次郎、ショパンとサンド、空海と最澄)の行動分析を通じて、感受性の解説を行っております。営業折衝や対人折衝にとても役立ちます。一部立読みが可能です。

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■リーダーのコミュニケーションスキルに関する参考書籍
『リーダー感覚 人を指導する喜び』(鳥影社)
ほめる訓練から説得の作法、リーダーの条件などについて詳しくまとめています。また、L研リーダースクールでは、実践的な研修を用意しています。

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Tag: 2種
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